コンテンツという「メッセージ」産業の役割

「和」コンテンツのグローバル化

フランスは総選挙でマクロン大統領の与党連合が大敗し、当初、極右政党の台頭、次に左派連合がトップになりました。

イギリスでもスナク元首相の保守党が破れ14年ぶりの労働党政権の返り咲き。米国では、民主党が劣勢にてトランプ元大統領の共和党が支持を集めている様です。米国主導の欧米は、移民の規制や排斥、貿易のブロック化など内向きになっていきます。一方、ロシア、中国は強権的な政治を強め、中東と北朝鮮含め米国との対立軸を打ち出しています。世界政治は、ブロック化を内向きに加速している様です。

一方、インターネットで繋がった各国民は、逆に、新たな世代を中心に、外向きにメッセージを発信し、将来に向けて、硬直化した現状打破を図ろうとしているかの様です。各国民と政治との間に揺らぎが生じている中、世界が諸事、顕在化する危機を回避し、短期的な部分の調和でなく、継続的な調和を図っていく為に、人々の間のメッセージの共有が更に重要になっています。各国民間の文化の相互理解に根差した、コンテンツという「メッセージ」の産業の役割がそこにある様です。

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「日本全国 伝統工芸」というコンテンツについて、ICAは、世界とのコラボレーションによりグローバルへの訴求を目指しています。第一弾コラボのビートルズは、国内アッパーエイジをターゲットに、2024年4月開催、阪神梅田本店で、インバウンドをターゲットに、6月開催、西武新宿駅PePeでお披露目を開始。来月8月、タカシマヤタイムズスクエア高島屋新宿店のメインスクエアにて訴求展開を進めています。

日本全国 伝統工芸×ビートルズ

ビートルズの次展開のIPとしては、10月開催、大阪ナオミ招聘 東レ パンパシフィック世界テニス。12月は、MLB選手会とのコラボで大谷翔平等の展示販売を計画しています。

日本全国 伝統工芸×東レパンパシフィック世界テニス
MLBメジャーリーグベースボール選手会

2025年4月開催、大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマ。

「人間一人一人が、自らの望む生き方を考え、それぞれの可能性を最大限に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続可能な社会を、国際社会が共創していくことを推し進める」というもの。多様性、持続可能、共創がテーマです。日本から発信する文化として、「伝統工芸」も重要なコンテンツです。様々の世界コンテンツとのコラボレーションが可能であり、時代の試練を経た、ある種の普遍性を持ち、歌舞伎や和食同様に「和」コンテンツのグローバル化が可能と思われます。

冒頭の世界政治のみならず、時代は、ビジネスに於いても現在、歴史的な転換期に差し掛かっています。

多くのライセンス・ビジネスで中心的な位置を占めるマーチャンダイジングに於いて、素材市場の転換期。今後、石油化学製品に対する規制が強化され、再生プラスティック、有機プラスティックから自然素材への回帰が進みます。伝統工芸を支える木製、紙製、陶器、染め織物等の自然素材の産業は見直されてきます。

経済に於いては、日本通貨YENの転換期、外貨獲得のチャンスです。1ドル75円の2011年から現在、1ドル150円以上の円安。円の価値が半分になった背景に、日米の金利差が指摘されますが、円安は対ドルに限りません。世界の基軸通貨米ドルも2020年を境に急増しています。(通貨の流通量増加するのと比例し、相対的に金の価値が高まります。)

YENの流通量(日本銀行券発行高+貨幣流通量+日銀当座預金)
米ドル 対 円相場(仲値) 推移(短期)
米ドルの供給量(cf.金価格の高騰)

米ドルの量(cf.金価格の高騰)  

「刷りまくった結果、薄まった」通貨YENの価値を逆手に取り、新規産業としてのコンテンツ含めた輸出構造へ転換する機会です。80年代、プラザ合意前の(超円安)1ドル250円時代、日本は世界市場を席巻した様に。(背景は、2012年の金融政策である異次元緩和決定を境に、円は521兆円ほど急増があります。円安、物価を抑えるべく金利を上げる事で一旦、円高に振れるものの、財政上、2%の利上げで日銀は債務超過。通貨は信用不安に陥ります。)

最後に、政治的には「世界地図」の転換期。大戦前夜のごとくブロック化が進む中、過去2度の大戦と異なるのはネットで各国民が繋がっている事。世界を繋ぐ正しいメッセージの訴求が重要となっています。各国に於いて国民と政治との間に揺らぎが生じている中、正に「政治は内向き」に「メッセージは外向きに」動き出しました。正しいメッセージが創出され、循環していく市場と、そのインフラの再構築が必要です。